© Musée des Papeteries Canson et Montgolfier
伝説の誕生
ギーズ公フランソワが、ナポリ王国をスペインから奪回する準備を進め、またカトリックとプロテスタントの争いが続いていた頃、アンベールの製紙業者 ジャック・モンゴルフィエ(Jacques Montgolfier)は、故郷のオーヴェルニュ地方を後にし、ボージョレの地に居を構えました。これが当家の発展の始まりであり、その後数世紀にわたって 、数多くの製紙工場が作られてきました。
ヴィダロンの製紙用水車。石造りの地上階の上に作られた木製の乾燥室 © Musée des papeteries Canson et Montgolfier
ヴィダロン、製紙技術の発祥の地
ボージューの製紙業者の息子だったミッシェル・モンゴルフィエとレイモン・モンゴルフィエは、ヴィダロンに 進出し、そこではオーヴェルニュ出身の製紙業者シェル(Chelles)家が、代々製紙の糊付けの仕事を行っていました。モンゴルフィエの二人の息子たちは、その地の主ともいえ るシェル家の二人の娘たち、フランソワーズとマルグリットに恋をし、わずか二週間後に結婚に至りました。 こうして、モンゴルフィエ家がヴィヴァレ地方に根を下ろしたのでした。
ヴィダロン製紙工場の庭で初の熱気球飛行、1782 年12 月14 日 © Musée des Papeteries Canson et Montgolfier
紙による空と空間の征服へ
1782年12月17日、モンゴルフィエ家の中庭では、奇妙な形をした大きな紙袋が膨らみました。やがて紙袋が立ち上がり、地面を離れ、宙へと浮き上がりました。空を飛んだ紙袋は川を越え、やがて丘の上に軟着陸したのでした。ジョゼフ・モンゴルフィエとエティエンヌ・モンゴルフィエの兄弟は、この日ついに古代のイカロスの夢だった「人はいつか鳥のように空を飛ぶだろう… 」という予言を実現したのでした。1782年は、ラヴォワジェが水の組成を明らかにした、科学の進歩に決定的な年でした。
1794 年、新しい紋章と標語を体現する会社のロゴが決定されました。アノネの赤と黒の チェッカー、熱気球はモンゴルフィエ兄弟の発明、標語Ite per orbem (« 世界へ向かって 行け»という意味のラテン語) 。すでに紙が世界中に販売されることを予感。
ヴィダロン王室製紙工場
3 月19 日、モンゴルフィエ製紙工場は、王室公認の工場に昇格されます。この称号はフ ランス中の製紙業者が欲しがっていた称号ですが、業界で最も潜在的に革新的な業者に授 けられたものです。 数年後、バスチーユが襲撃されました。王室公認の名前を掲げるのは困難な時代でした。
Barthélemy Barou de la Lombardière de Canson(バルテレミー・バルー・ド・ラ・ロンバ ルディエール・ド・カンソン) © Musée des Papeteries Canson et Montgolfier
Canson et Montgolfier(カンソンとモンゴルフィエ)の誕生
エティエンヌ・ド・モンゴルフィエが亡くなって2 年後、娘婿の、バルテレミー・バルー ・ド・ラ・ロンバルディエール・ド・カンソンが後を継ぎました。このようにして、将来 、美しい紙の愛好家や芸術家たちに親しまれる名前としてCanson の名が、歴史に登場し たのでした。フランス銀行が創立され、紙の納品は当時の共和国通貨「ジェルミナル・フ ラン」で支払われました。
透明そしてカラー、製紙業における新発明
Canson は、モンゴルフィエ一家からの革新の伝統を継承しました。極秘裏に発明された のが、透写紙です。透明なこの紙により、建築家は何度も何度も同じ図面を描く必要がな くなったのです。そして次に挑んだのはパルプの着色により、均一で色素の固定化された カラーペーパーでした。 ナポレオンが、ヨーロッパ征服途上の頃のことでした。
製紙用パルプの糊付け
製紙用の機械の登場により、糊付けを近代化する必要性が生まれました。ゼラチン状の液 にどのようにすれば手作業で長い紙を漬けることが可能か?バルテレミーとエティエンヌ ・ド・カンソンは、蝋をベースにした糊を発明し製紙用のパルプに混ぜ込んだのでした。 技術革命の波は、鉄道にまで及び、欧州で初の鉄道路線がサンテティエンヌとアンドレジ ユーの間に開通しました。
Canson® ―写真用紙のパイオニア
ギュスターヴ・ル・グレイ(Gustave Le Gray)やブランカール・エヴァール(Blanquart-Evrard)といった写真の黎明期のパイオニアたちが使っていたのは、Canson® et Frères が作った用紙でした。
1851年に、フランスの写真家ギュスターヴ・ル・グレイは、« 蝋引き乾燥紙 »で特許を取得しました。
この蝋引き紙の製作では、Canson®の用紙も使用されていたことが記録されています。ギュスターヴ・ル・グレイは、当代の偉大な写真家の一人でした。
このころ雑誌« ラ・リュミエール(La Lumière) » が、写真を扱う雑誌の第一号として創刊されました。その歴史は1851年に始まって1967年ごろまで続き、Canson® もその記事に名を連ねています。
年の写真展示会のカタログの表紙© Musée des Papeteries Canson et Montgolfier
Canson® が写真用紙で特許を取得
1865年12月8日、 Canson® はアルブミン処理で印刷工程を大幅に短縮すると同時に、他の方法よりもコストを抑えた写真用紙の改良で特許を取得しました。この用紙により、塩化物を用いた金やプラチナの角面加工が可能になりました。
Canson® が1892年の万国博覧会の写真部門で最高栄誉賞を受賞
1892年の万国博覧会の写真部門で、ヴィダロンの写真用紙製造は、写真用キャンヴァス紙の最高賞である栄誉ディプロマを受賞しました。 «写真の点から見て、ヴィダロンの写真用紙製造は、専門性の高いさまざまな用紙を製造し、その著しく高い品質は今日ではよく知られている。それは、産業用写真用紙ロールであり、さまざまな工程を経て、並びない印刷品質を実現する。そしてパーチメントティシューと呼ばれるキャンヴァス紙も、やはりロール紙で、近年完成の域に達し、最新の工程を用いた写真用ファブリックである。»
1947 年、Canson 初のポシェット(フォルダー) © Musée des Papeteries Canson et Montgolfier
Canson® ポシェット(ホルダー)がすべての学校に
デッサンの先生たちは、加筆するノートの重さに耐え、またデッサンは重く展示できないものでした。Canson® はその解決策をもたらしました : 紙製のホルダー(ポシェット)で、たくさんの紙を入れ、保管できるものです。こうして有名なポシェットが誕生し、時代や流行を越えて今も生き続けています。
遺産とデッサン技術
デッサンのための情報サービスとアーカイブ保存は、Canson®が取り組む事業の一つです。新たなニーズに応える製品の開発と販売を行うCanson® からは、CAD用紙と、Haute Qualité de Conservation (HQC) シリーズ製品が新たにカタログに加わっています。
Canson® Infinity, gamme pour la DFAP
Canson® からDFAPの Canson® Infinity シリーズを発表
写真用紙で豊富な経験を有する, Canson® は、DFAPの Canson® Infinity シリーズを発表しました。このシリーズでは、全世界のアーティストが使う最も美しい用紙の特性と、技術の頂点、そして耐久性の面でも最高の性能を有する写真用紙が誕生しました。
© John actéon deer, 2010 Aquarelle et encre sur papier, Fabien Mérelle
アーティストとの強い絆
常にアーティストの傍にあることを信条とするCanson® は、アートと写真のためのCanson® 基金を創設し、アーティストによるCanson®用紙利用の推進事業を行っています。初となるPrix Canson® 賞は、若いアーティストファビアン・メレル(Fabien Mérelle)に贈られました。審査員は、画家のジェラール・ガルスト(Gérard Garouste)でした。
Canson® は、またルーブル美術館を後援するメセナ活動を大々的に行っています。
Canson® Infinity Baryta Photographique
Canson® Infinity Baryta Photographique がPhotokinaサロンでTipa を受賞
インクジェット技術を使用した写真プリントへの真のサポートとなるバリウム用紙、Canson® Infinity Baryta Photographique は、伝統的な銀円写真と同じ硫酸バリウムコーティング層を使用しています。この用紙は、2010年にはPhotokinaサロンでTIPA(Technical Image Press Association).賞を受賞しました。.
Canson® Infinity Photo Lustre Premium RC
Canson® Infinity Photo Lustre Premium がTIPA を受賞
TIPA 2015 審査員評より抜粋:
«インクジェット印刷の表現は、フォトラボの技術とイメージのほかに、社子音用紙そのものの質にも左右されます。
Canson® Infinity Photo Lustre Premium RC は、豊かでしなやか、かつ堅牢な310g/m²の厚みを持つもので、市販のインクジェットプリンタの標準にも適合しています。
この用紙は、どんなプリントにも手軽に使うことができ、さまざまな加工工程に耐えます。
この製品は、無酸性アルファセルロース繊維を使用し、ポリエチレンコーティングと、ミクロの穴の層のコーティングを施しています。インクや色素でのプリントに対するこのサポートは、ほかに類を見ないものです。
どこまでも白く、またつやがあり威風堂々たるベースのコンビネーションは、モノクロでもカラーでも、写真プリントには欠かせない選択肢となります。».
“Manufacture depuis 1557”
Canson Infinityは、ロゴをリニューアルします。ブランドの深い歴史を称えながら、未来を見つめました。
読みやすい大文字を使い、力強く特徴的な新ロゴで、Canson Infinityとして新たなる成長、イノベーション、アイデンティティを追求します。 Cansonの「O」に代わる形で熱気球のシンボルを配置し、歴史ある古典的なデザインに新しい風を吹き込み、クリアで現代的な仕上がりになっています。
また、“Manufacture depuis 1557”のスローガンも盛り込み、フランスらしさと創業年を強調します。